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「時間給で働く人たちのニーズに応えるため、プロとしてより良い環境を提供したいんです。」

★藤本勝典さん(55歳・東京都中央区/株式会社エーピーシーズ代表取締役社長)

勤務し終えた給与の一部を、スタッフがいつでも引き出せる福利厚生サービス〝速払いサービス〟を軸に、急成長を遂げている『株式会社apseeds(エーピーシーズ)』。社名の【ap】は「アルバイト」「パート」【seeds】は「種」を表します。働く人たちの「あったらいいな」を1つ1つ「種」として……笑顔とモチベーションを芽吹かせる存在でありたい。若葉がシンボルのロゴには、そんな思いも込められています。

 

◆給与前払いサービスを展開出来たのは、時間給で働く人の気持ちになって考えたから!

実はアルバイト・パートスタッフの大半は、働き始めたタイミングが一番の金欠状態。すぐにお金が欲しいのに、勤務先が定めた給料日は、ひと月先なんてざら。それでも公共料金の支払いや、結婚式にお呼ばれなどの急な出費は待ってくれません。そんなニーズに応えるため、生まれたのがこのサービス。

この前払いサービスが生まれた事で、スタッフの働き方も変わってきました。それまでアルバイトを決めても初めての給与が入るまで「日払い」のアルバイトを掛け持ちして、生活を繋ぐのが通例でした。しかし速払いが出来る事でダブルワークの必要も無くなり、アルバイト側だけではなく、雇う側としても腰を据えて最初から働いてくれるスタッフを確保出来るようになりました。

 

◆業務連絡に特化したメッセンジャーが好評です!

エーピーシーズでは、コミュニケーションツールにも力を入れています。『apアプリ』と題したこのアプリは、所属スタッフ向けの業務用メッセンジャー。今まで個人のSNSを使っていた事で起きてきた個人情報の流出を防いだり、会社とスタッフの情報共有、さらには勤怠管理などの把握も格段に楽になります。

「このアプリを開発したきっかけは、アルバイト同士のトラブルからなんです」私の知り合いの経営者が、スタッフ同士の連携をグループLINEで行なっていた際、アルバイトを辞めた女の子に男の子が個人的にメッセージを送ったのがきっかけなんです。女の子からしたらバイト先から言われて提出した個人情報がそういう形になってしまう……一方でそれも出会いと考える考え方も分からない訳でもありません。しかし個人情報保護を重んじるこの時代では、個人アカウントを使うことが難しくなりました。そのため『apアプリ』ではメンバー同士でのやり取りは出来なくなっています。また、メールなどでグループを作成した場合、大切な情報が迷惑メールに入ってしまうことも起きがちです。メールのセキュリティが向上したことで、アドレスを登録していない外からのメッセージは弾かれてしまう。そんな機能の向上を逆手に取った、一般的に言うと少し使い勝手が悪いアプリが、お客様からは好評です。

現在は30名程の社員を束ねる藤本社長。この世界を知るきっかけになったのは19歳の時。現、株式会社リクルートジョブズ、当時日本リクルートセンターで、フロム・エーの原稿確認のアルバイトをしていました。フロム・エーに掲載するお店に出向いて原稿を書き、その場で店長に確認してOKを貰う、今ではメール1つで済む作業を当時は日給6400円を頂いて、人力でやっていました。藤本社長が担当していたエリアは新宿歌舞伎町「実は歌舞伎町、400メートル四方に2万店のお店があるんです」そんな莫大な数のお店を一件、一件回って行きます。飲屋街なのでフロアレディの募集が多かったのですが、厄介なのが場所柄ピンク系の店舗も多かったこと。フロム・エーにはピンク系のお店は掲載出来ないので、見分け無くてはいけません。「ウソのような基準なんですが……」と前置きされた上で……「ビキニであるか否かなんです!」と教えてくれた藤本社長。大きく解釈すると、接客において水着のビキニは完全にアウトで、ワンピース系の水着であればセーフだったみたいです。(笑)

 

◆オンリーワンの先にナンバーワンがある

アルバイト時代の働きぶりが認められ、4年掛りで正社員になれたという、藤本社長。もちろん嬉しかったそうなのですが、高卒だった藤本社長は、この先どうやって大卒のエリートたちと渡り合って行くかを考えたそうです。「これは現在も事業家として思うことなのですが、商売は人と同じことをしてもダメだということ」今あるナンバーワンを負かしに行くより、オンリーワンをどうやって作り出すか。オンリーワンを自身で作って、それからナンバーワンを目指した方が、大変だけどやりがいもあるんです。しかしナンバーワンになれば、必ずマネをする2番手、3番手が現れるのも事実です。そんな時、どうやったらナンバーワンを維持出来るのか?社員には常に変化し続けることを促します。良い商品や新しいものを生み出し続けなければ、オンリーワンから築き上げたナンバーワンも、あっという間に2番手に成り下がってしまいますから。

◆社長は会社の中で1番のプロ

経営の前に社長は、その世界のプロでなければなりません。「私で言えば、時間給で働くお客様のプロ」アルバイト・パートの方々が〝より良い環境で働くには〟ということを常に考え、その上で誰よりもその事について詳しくなければなりません。藤本社長はプロになる条件として〝身の丈がわかっている事〟をとても大事にしています。自分自身を客観視出来ること、世の中の普通を理解すること、一般的な物差しを自分の中に取り入れる事が出来て、初めてプロになる切符を手に出来るのです。そんな藤本社長も、本田技研工業創業者、本田宗一郎さんに影響を受けた一人です。中でも生涯現役という考え方にとても感化されました。若い人たちに背中で教える社長は、現役の中で最高のプロ選手。

今後はより時間給で働く人たちのサポートに力を入れます。社員たちには歳を取っても働ける会社を目指そうと、激を飛ばします。20年後も今と同等以上のパフォーマンスを維持するにはどうやったら良いのか?そのため、今年の春に引っ越した新しいオフィスは、社員たちが帰りたくなくなるを裏コンセプトに、遊び心溢れる内装にしました(笑)社員たちの環境にも気を使い、デスクチェアーは奮発して一脚6万円の物にしました。

〝自分がやらなくてはならないことを、自分で決められる〟ことに幸せを感じられているという藤本社長。夢は「まだ現役なんですか!?」と、驚かれること。その言葉を耳にするまでは、プロを引退出来ません。

(取材・構成 内藤英一)