WORKSTYLE ONLINE

働くみんなを応援するワークスタイルオンライン

「映像を作ることで、関わる人たちにプラスの変化をもたらしたい。」

★保村周治さん(29歳・埼玉県所沢市/シネマトグラファー

高校卒業後3年勤めた会社を辞め、いざ東京へ。自分のやりたいことを見つけるために上京したものの、なかなか見つからず、アルバイトに暮れた日々。しかし、自身を助けたのは好奇心でした。知り合いの仕事を手伝ったり、ボランティア活動に参加したり…たくさんの人と触れ合うことで辿り着けた、この仕事。今では、人や商品、サービスの魅力を伝えるために、撮影に編集に忙しくしています。人×映像の無限の可能性に魅せられた29歳、その情熱は誰にも負けません。

◆シネマトグラファー

シネマトグラフという聞き慣れない言葉を調べると、フランスのリュミエール兄弟が、1895年に世界で初めて公開したフィルムの名称と出てきます。いわゆる映画の始まりです。それから125年余り……。今では、撮影機材の発達、さらにはドローンの登場で、安価でありながら個人でもクオリティの高い映像を撮ることが可能になりました。そんな背景の影響を受け、数年前から少人数で映像制作を手掛ける、シネマトグラファーが活躍、各団体や企業、さらには、個人などからもプロモーションとしてのオファーが増えているのです。

◆シネマトグラフの可能性

シネマトグラファーをひと言で言うと〝映像を作る人〟と言い表した保村さん。インタビューを中心に人物を追いかけ、映画のようなテイストを残しつつ、ドキュメンタリータッチで制作しています。現在は、日本初の傘シェアリングサービス『アイカサ』のプロモーションに携わっているという保村さん。1日70円、1ヶ月では何度借りても最大420円で傘が借り放題というのがウリです。主役は傘、しかし保村さんは傘を取り巻く人間模様を画きたいと思っています。傘を借りた人が、その傘とどんな1日を過ごすのか?選んだ借主と選ばれた傘の小さな物語……。時間を掛ければ掛ける程、アイディアは広がります。シネマトグラファーは、ただ商品を紹介するのではなく、映画が持つ芸術性……見る側に考えさせたり、選択させたり、頭を使わせることも考えなければなりません。そんな負荷を楽しむ姿に、クリエイターとしての一面が垣間見れました。

◆きっかけは、突然に!

そんな保村さんが、この仕事を目指すきっかけになったのは、テレビのCM。何かこの先、生きていくためのスキルを身に付けたいと思っていた時期でした。流れるCMを見て「これを作れたら面白いな」と。自分のやりたい事が見つかった瞬間です。しかし、どうやったらこの仕事につけるのか?歯がゆい日々を過ごしていると、思わぬ所から、きっかけが転がり込んできました。たまたまその年の夏に、国際交流推進団体が運営する、船で巡る世界一周ツアー〝ピースボート(PEACE BOAT)〟という、イベントに参加することになったのです。

ピースボートの運営は、旅をしながら企画を作り、映像制作なども行っていきます。保村さんは企画チームに振り分けられ、乗船中は様々な企画の手伝いをしました。しかしすぐ側では、映像チームも同じように活動しているのです。撮影機材の使い方や撮影手順、間近で見る事で、映像に対する想いは、より一層強くなって行きました。

◆独学の洗礼

最初は独学で学んでいたという、保村さん。分からないことは、ピースボート時代の仲間に聞いて、勉強しました。しかし早々に、壁にぶつかります。映像制作は編集次第で、なんとでもなると思っていましたが、大変だったのは、撮影だったんです。手振れに始まり、カメラワーク、画角や構図に至るまで、自分では「こんな感じだろう」と思っていたこと全てが、素人レベル。せっかく撮影したのに、編集の段階で撮れていなきゃイケない画が撮れてなくて、追撮をお願いしたことも。もちろん、追撮は今でも必要に応じて行います。「ただ、あの当時は、追撮というより、撮り直しだったかもしれないですね(笑)」

自分のやり方に限界を感じ、その後は1年ほど就職することになります。独学との答え合わせです。プロのやり方、他人のやり方……自分の欠点を自覚していたことで、吸収したいポイントもはっきりしていました。CMを見て、何となしに〝やりたい〟と思ったのが4年前……。そこから徐々に、スキルアップをして、2018年の3月に、フリーランスとして独立します。キャリアはまだ2年!しかし、新しい職種ということもあって、仲間うちでは、中堅扱いされるそうです。

3分ほどの短い映像の中で、いかに人生を切り取り、人間を描くか。そのためには相手のことを知り、カメラを向けても構えられない関係性を築くことが大切だと、保村さんは思っています。目標は、自分が作った映像で、関係者や見て頂いた方々の未来に何かしらの変化をもたらすこと。そのために日々のスキルアップに、余念はありません。

あの日、自身の未来に変化を与えてくれたCMのように、いつの日か、誰かの琴線に触れる作品を目指して……

(取材・構成 内藤英一)