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「家族のような職場の6年間。辞めたいと思ったことは、一度もありません」。

――須藤葉月さん(大阪市中央区/24歳・ぷれじでんと千房シェラトン都ホテル大阪店主任)

高級感たっぷりの空間でお好み焼が味わえる、ぷれじでんと千房。その傘下のひとつ、ぷれじでんとシェラトン都ホテル大阪店で2017年夏から勤務しているのが須藤葉月さんです。場所柄、ホテルの宿泊客も来店する緊張感のある職場。アルバイト・パートを経て社員に昇格し、気がつけば6年の歳月が流れていました。いつも家族のように接してくれる先輩や仲間に支えられて、好きな仕事に打ち込んでいます。

 

◆楽しんで仕事ができる理由

お好み焼店というより、ステーキハウスか日本料理店のような落ち着いた雰囲気。真っ白なコック服を身にまとったスタッフが、カウンター越しに来店客と談笑しながら鉄板調理をこなしています。千房が誇る、ワンランク上のテイスト。食事そのものより、ゆったりと流れる時間を楽しむ上質な空間にほかなりません。

「大変お待たせしました。須藤と申します」。はつらつとした笑顔で登場、どんな質問にも屈託なくハキハキ答える姿はしっかりしていて、とても24歳にはみえません。

以前は実家の門真市から通勤していましたが、最近はひとり暮らし。月8回の休み以外は、朝10時に出勤。閉店時間は22時ですが、忙しい時は退社時間が夜12時を回ることもしばしば。「通勤時間は10分程度なんです。だから家が近いというのは助かります(笑)」。でもあまり近すぎると、オンとオフの区別がつきにくいのでは?「全然そんなことはありません。いいスタッフばかりなので、仕事がとっても楽しいんです。それに休みの日はほとんど寝てますから(笑)」。

アットホームで働きやすい職場環境。以前から話には聞いていましたが、それが嘘ではないことがよくわかりました。

 

◆うれしすぎた店長の「ナンパ」

千房との出会いは、高校生活最後の年。休日に友人と京橋界隈を歩いていたら、ふとお好み焼が食べたい! そんな衝動にかられて飛び込んだお店が、京橋京阪モール支店だったのです。「いやあ、やっぱり美味しかったです。お好み焼はやっぱり千房やな~って(笑)」。お好み焼チェーン店はほかにもありますが、今もよそでは食べないのだそうです。

目の前の鉄板でお好み焼を焼いてもらうスタイル。清潔感のある厨房。自然に会話も弾み、贅沢な時間が流れます。そんな時、声をかけてきたのが当時の店長でした。

最初のうちは他愛のない話ばかり。高校生活のことや友達のことや。そのうち話題は徐々に核心へ。閉店時間が迫っていた時、「よかったらうちに来ない?って誘われたんです。まさかそんな話題になるなんて(笑)」。働きたくなったらいつでもここへ電話してきてねと、名刺まで。さらに驚いたのは、店を出る時スタッフ全員で見送ってくれたことでした。「おかげで、頭の中にがっつりインプットされてしまいました(笑)」。10代の少女の目には、いつでも待ってるからね、という歓迎メッセージに映ったのかも知れません。

 

◆友達もうらやむ良好な人間関係

1カ月後。当時の店長の思惑通り、面接試験を経てアルバイトとして採用が決まりました。しかも、あの時と同じ京橋京阪モール支店で、念願の千房デビューを果たしました。

しかし、仕事は「思った以上に厳しかったです。バイトだから与えられたことだけやればいい、という甘えは許されませんでした」。鉄板調理だけでなく、接客も重要な仕事のひとつでした。言葉を選びながらカウンター越しに接客していると、立場の違ったあのころの自分と重なります。もう客ではないんだと言い聞かせる毎日。常連客との楽しいはずである会話も、自分にとっては成長していくための学習そのものでした。

そんな時、当時主任だった女性スタッフがとても印象的でした。「カッコよくてテキパキ仕事ができて、まさに理想の上司でした」。その後、彼女のようになりたい、こんな主任になりたいという思いが、日に日に強まっていったのです。まるで家族のような温かいスタッフにも恵まれ、どんなことにも親身になって話を聞いてくれる仲間たち。たまに会う友達とそんな話をすると、とてもうらやましがられていたそうです。

 

◆目指すのは女性店長第2号

2015年、晴れて社員に。さらに翌年には主任に昇進。頑張った分はそのまま給与や賞与にも反映されました。「仕事はきついけど、結果はついてきました」。1カ月にわたる東京での社員研修も初体験、多くの刺激を受けてきました。

辛かったのは、慣れ親しんだ京橋を離れる日がきたこと。「多くのリピーターのお客さまに可愛がってもらえてたし、しかもみんないいスタッフばかりだったので、離れたくありませんでした」。いつかは訪れる別れの日。充実した4年間だったと思えるのは、それだけ自身が納得いく結果を残してきたからこそ。その後2年間、どちらも百貨店内にある八尾や高槻の店舗を経験し、大人としての振る舞いも身につけてきました。

しんどい時でも悔しさをバネにできるパワー。6年間で培ってきた接客術は、確実に人間を大きくしました。「辞めたいと思ったことは、一度もありません」と胸を張って言えるのは、何よりの会社評価でもあります。

かつて憧れの存在だった女性スタッフも、今や店長に。「何としてでも、女性店長第2号になりたいんです(笑)。だからもっと頑張ります!」。近い将来その日がきたら、このお店でお祝いしましょう、と誓ってお店をあとにしました。

 

(取材・構成 池田厚司)